地域在宅医療提供体制推進事業

鹿児島市、川内市、鹿屋市、枕崎市、指宿、日置市、南薩、出水郡、肝属郡、熊毛地区
(平成27年度から出水郡、肝属郡は実践医師会)

具体的事業内容

地域在宅医療提供体制推進事業の内容
1.目的

郡市医師会を地域の在宅医療の連携拠点として、医師、歯科医師、薬剤師、看護職員、介護支援専門員等の多職種並びに地域自治体との協働による包括的かつ継続的な在宅医療提供体制の構築を推進するため、公益社団法人鹿児島県医師会(以下「本会」という。)が、郡市医師会に委託して行う。

2.事業実施にあたっての課題と背景

(1)在宅医療における多職種連携の推進

1)多職種連携の課題に対する解決策の抽出

在宅医療における多職種連携の前提となるのは、医療・介護・福祉を含めた従事者(以下、医療介護等従事者)の職種・機関等の垣根を超え、連携できる体制の構築である。しかし、地域内の医療介護等従事者の交流は、同業種や同機関に限定されていることが多いことから、現場の医療介護等従事者の交流の機会を確保し、様々な情報が職種や機関を超えて共有されることが求められている。

2)在宅医療従事者の負担軽減の支援

多職種連携及び24時間対応体制の構築が在宅医療における課題とされており、それらに負担を感じている在宅医療従事者も少なくない。また、このことから在宅医療を敬遠する医師が存在するのも現状である。その理由として、各職種が異なる機関に所属していること、常勤医師が1名の診療所や小規模訪問看護ステーションが多いこと等が挙げられている。

3)効率的な医療提供のための多職種連携

県民が住み慣れた地域で安心して生活することを支えるためには、医療・介護・福祉の様々な支援をシームレスに提供できる体制が必要であり、限られたこれらの資源を効率よく活用する仕組みが求められている。

(2)在宅医療に従事する人材育成

在宅医療においては、医師・歯科医師・薬剤師・看護職員・介護支援専門員等の多職種が各々の専門知識を活かし、積極的な意見交換や情報共有を通じて、チームとして患者の質の高い療養生活及び患者の家族を支えていく必要がある。

(3)在宅医療に関する地域住民への普及啓発

在宅での療養やそれを支える訪問診療や訪問看護の役割について、また自宅で人工呼吸器の装着や点滴による治療、終末期医療が可能なことを知らない地域住民も多い。

3.事業内容等

(1)事業実施期間

平成25年度から平成27年度。

(2)事業範囲

事業範囲は、概ね受託医師会の管轄地域。

(3)事業内容

1)及び3)は、原則として必須事業。2)、4)~8)は、選択して実施。ただし、事業内容については協議が必要な場合は、県医師会、郡市医師会双方で協議して決定する。

1)事業運営委員会の設置

ア.目的

地域における在宅医療の推進に向けた方策を協議し、事業の企画や運営を行うため、受託医師会内に事業運営委員会(以下、「運営委員会」という。)を設置する。

イ.構成

運営委員会は、郡市医師会長のほか、医療保険担当理事、介護保険担当理事等で構成し、これを受託医師会事務局職員が補佐する。

ウ.運営

運営委員会は、在宅医療の推進に向けた事業計画の企画立案や事業全体の管理運営、地域在宅医療推進連絡協議会の運営、その他必要な事項について検討する。

2)在宅医療推進チームの設置

ア.目的

運営委員会や地域在宅医療推進連絡協議会等の意見を踏まえ、多職種連携による在宅医療提供体制の構築を具体的に検討するため、在宅医療推進チームを設ける。

イ.構成

在宅医療推進チームは、地域の医師、歯科医師、薬剤師、看護師、介護支援専門員、医療ソーシャルワーカー、介護福祉士、地域振興局・支庁・市町村職員等で構成する。

ウ.活動内容

在宅医療推進チームは、次の内容を具体的に実施するワーキングチーム機能を持つ。

  • 地域の医療・介護・福祉資源の機能等を把握し、地域における連携上の課題の抽出、解決策の検討
  • 在宅医療に関する地域住民への普及啓発活動
  • 地域の在宅医療介護等従事者に対する多職種連携のための研修等の企画運営
  • その他在宅医療の推進に必要な事項3)地域在宅医療推進連絡協議会の設置

ア.目的

地域の在宅医療に関わる多職種・地域振興局・支庁、市町村が一堂に会し、地域における在宅医療推進に向けた方針等を協議するため、地域在宅医療推進連絡協議会(以下、「協議会」という。)を設ける。

イ.構成

協議会は、医療介護福祉の関係団体、県行政、市町村を含めた多職種で構成する。

ウ.運営

協議会は、地域における在宅医療に関する課題の共有や、在宅医療の推進に向けた方針、その他地域での在宅医療の推進について必要な事項を協議する。また、協議された事項は、本会が運営する県在宅医療連絡協議会へ適宜報告し、必要な事項については課題提言を行う。

4)関係機関並びに地域住民へのニーズ調査の実施

ア.目的

地域における在宅医療に関する現状を把握するため、関係機関並びに地域住民へニーズ調査を行う。

イ.調査対象と内容

対象は、医療機関、歯科診療所、調剤薬局、介護保険施設等、介護サービス事業者、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、地域住民等とし、調査内容は、本会と受託医師会で決めることとする。

5)多職種連携のための研修の実施

ア.目的

多職種による在宅医療を推進し、関係職種の技術向上と情報の共有化を図るため、在宅医療に関わる医療介護等従事者を対象に、研修(学習会、症例検討会等)を開催する。

イ.研修内容

研修内容は、各地域の実情に応じ受託医師会で決めることとする。

6)住民向け普及啓発のための講演会等の開催

ア.目的

在宅医療の理念や内容、それに従事する職種の機能や役割を広く地域住民へ紹介し、在宅医療の浸透を図るため、地域住民を対象に、講演会等開催する。

イ.内容

地域住民を対象にした分かりやすい内容とし、各地域の実情に応じ受託医師会で決めることとする。

7)住民向け普及啓発のためのパンフレット等の作成

ア.目的

在宅医療の理念や内容、従事する職種の機能や役割を広く地域住民に紹介し、在宅医療の浸透を図るため、地域住民を対象に、パンフレット等を作成し配布する。

イ.内容等

地域住民を対象にした分かりやすい内容とし、本会と受託医師会で決めることとする。

 

8)1)~7)の事業のほか、本事業の目的達成のため、本会が必要と認めたもの。